ダンベルプレスで胸に効かず、腕だけ疲れるとき
ダンベルプレスをやったのに、翌日効いているのが胸ではなく腕、ということがあります。
自分の場合、原因は下ろす深さでした。深さが足りないと、押し始める前に作っておきたい 形が作れません。形が無いまま押すので、上げるときに腕が動作を引き受けます。
見分け方は2つです。腕に来るのが「上げるとき」なら、この記事の話です。そして 高重量のときほど起きやすい。当てはまるなら、直す場所は押し方ではなく、その手前にあります。
腕が出るのは、押し始めた瞬間
まず、いつ腕に来ているかを思い出してください。
下ろしているあいだは何ともなく、切り返して押し始めた瞬間から腕に来る。これが 当てはまるなら、原因は上げ方そのものではありません。押し始める時点で、すでに胸が 働ける形になっていないということです。
下ろすときから腕に来ているなら、別の原因があります。その場合はこの記事では解けません。
深さが足りないと、形が作れない
押す直前に作りたい形があります。頂点が手、等しい2辺が左右の腕、底辺が肘と肘を結ぶ線 ——胸の上に、正三角形に近い形ができている状態です。
この三角形は、十分に下ろして初めて成立します。肘が下がりきっていないと、底辺が胸の上まで 降りてこない。三角形が潰れたまま押し始めることになります。
潰れた形から押すと、動きの最初を腕が担当します。胸はまだ伸びていないので、参加する タイミングを逃したまま1レップが終わります。これが繰り返されて、腕だけが疲れます。
「胸にストレッチを感じない」という感覚も、ここから来ています。感じないのではなく、 伸びる前に折り返しているということです。
高重量ほど起きやすい理由
この崩れは、重いほど出やすくなります。扱える範囲を超えると、下ろしきる前に不安になって 折り返すからです。本人の意識としては「限界まで下ろしている」つもりでも、実際には 浅いところで止まっています。
重量を落とすと形が作れるなら、原因は筋力ではなく深さです。
効かなかった: 時間をかけてゆっくり下ろす
先に、試して駄目だったものを書いておきます。
「時間をかけてゆっくり下ろす」だけでは変わりませんでした。
理由は考えてみれば単純で、速度を落としても深さは増えないからです。浅いところで 止まる癖はそのままなので、三角形は作れないままです。丁寧に下ろした気分にはなりますが、 押し始める時点の形は何も変わっていません。
ゆっくり下ろすこと自体が悪いわけではありません。ただ、腕が疲れる問題の解決策では なかったということです。直す対象は速度ではなく、下ろしきった位置の形です。
バーベルのベンチプレスでも起きた
条件を変えても起きるかを確かめました。
バーベルのベンチプレスでも、先に腕が疲れます。 同じ感覚です。
ダンベルは左右が独立しているので、安定させるために腕を使っているのかとも思って いました。ですがバーで両手が繋がっていても起きる。つまりダンベル特有の問題では なく、押し始める前の形の問題だということになります。
ちなみに同じ2種目でも、肩が上がるほうは バーベルでしか起きませんでした。症状によって、器具を変えると消えるものと、 消えないものがあります。 消えないなら、器具を替えても意味がありません。
深さが足りているかの目印
「深く下ろす」は、どこまでが深いのか分かりません。自分の場合の目印は感覚のほうでした。
胸の中部に、最大限のストレッチを感じているか。
ここまで来ていれば、肘は自然と底辺の位置まで降りています。逆に、胸の伸びが最大に なる手前で折り返しているなら、三角形はまだ作れていません。
深さをセンチで測ることはできませんが、伸びの感覚なら毎レップ確認できます。しかも 高重量のときに浅くなるのは、まさにこの感覚を確かめる前に折り返しているからです。
形が作れたときの手応え
作れているかどうかは、下ろした位置だけでなく、上げ切ったところでも分かります。
上げ切ったときの収縮が、いちばん強く感じられる。
三角形が作れていれば、押し切ったところで胸が最も縮みます。腕で押した1レップは、 上げ切っても胸の収縮が弱いままです。同じ重量でも手応えがはっきり違うので、 1レップやれば分かります。
下ろしたところで「最大のストレッチ」、上げ切ったところで「最大の収縮」。この2つが 揃っていれば、その1レップは胸が担当しています。
次のセットで試す一文
意識することは1つに絞ってください。2つ同時に持ち込むと、どちらも中途半端になります。
両腕でトライアングルの形を維持する
下ろしきったところで、三角形ができているかを確認してから押し始めます。形が作れていない なら、そこはまだ押すタイミングではありません。
「深く下ろす」ではなく「三角形を作る」と考えるのがポイントです。深さは目的ではなく、 形が作れる位置まで下ろした結果として決まります。
ひじの角度を変えない
目指す三角形は正三角形です。左右の腕2辺と、肘と肘を結ぶ底辺が、だいたい同じ長さに なる形。細長くもなく、平べったくもありません。
肘の開きは体幹に対して60度くらいです。脇を締めきると腕で押す形になり、真横まで 開くと肩に乗ります。その中間です。
三角形の内角も60度なので、覚えるのは「60度」ひとつで足ります。
押しているあいだ、この角度を変えません。角度が変わるということは、腕が伸び縮みして 仕事をしているということです。角度を固定したまま動かそうとすると、動かす担当が 自然に胸へ移ります。
どちらか一方を選んで、次のセットで試してください。形から入る人は前者、押している最中の 感覚で掴む人は後者が向いています。