デッドリフトで背中に効かず、手で引いてしまうとき
デッドリフトをしていて、背中に効いている感じがしない。手のグリップで引っ張って いるだけの感覚になる。
自分の場合、これが変わったのは背中を意識するのをやめて、足裏を意識するように してからでした。「背中で引く」「肩甲骨を寄せる」のような、背中側を直接どうにか しようとする意識は、まったく効きませんでした。
見分け方は3つです。1レップ目から手に来る。軽い重量でも同じように起きる。そして 器具を変えても起きる。 当てはまるなら、直す場所は背中ではありません。
自分はどうだったか
1レップ目からでした。しかも軽い重量でも同じように起きます。
バーを握って引き上げようとすると、手と腕で引っ張っている感覚しかない。上に持ち 上げているというより、手でぶら下がっているものを引き寄せている感じに近い状態 でした。
軽い重量でも起きるということは、疲労やフォームの崩れではなく、最初の動かし方 そのものが違っているということだと考えました。重いときだけ、あるいはセット後半 だけ手に来るなら、別の原因があります。その場合はこの記事では解けません。
そもそも背中側を使えていなければ、重い重量は持ち上がりません。重量が上がらない のは筋力の問題ではなく、使えていない問題かもしれないと考えるようになりました。
効かなかったキュー: 背中を直接どうにかしようとする
先に、試して駄目だったものを書いておきます。2つあって、どちらも同じ方向の失敗 でした。
肩甲骨を寄せる
デッドリフトでよく言われる指示です。背中に効かせたいのだから背中を寄せる、という 発想としては自然です。
ですが自分には効きませんでした。寄せることに意識を使っても、手で引いている感覚は 変わりません。
背中に効かないのは結果であって、そこを直接直そうとしても変わらない、というのが 今の理解です。
胸を張る
これも定番ですが、自分の場合はやりすぎてしまいました。
胸を張ることを意識すると、上体が固まってぎこちなくなる。動作が窮屈になり、 スムーズに引けなくなりました。姿勢としては正しく見えるのかもしれませんが、 力が出せない姿勢になっていたと思います。
「張る」「寄せる」といった、上体を固める方向の言葉は自分に合わないようです。 効いたキューが3つとも下半身と手の話なのは、たぶんここに理由があります。
スミスマシンでもトラップバーでも起きた
原因を絞り込めたのは、器具を変えたときでした。
スミスマシンでも、トラップバーでも、同じように手で引く感覚になります。
スミスマシンは軌道が固定されているので、バーの動きのブレやバランスは原因から 外れます。トラップバーは体の中に立って、体の横で握る形になるので、バーを前から 引き寄せる要素も減ります。それでも同じでした。
軽い重量でも起きることと合わせると、残るのは引き始めの動かし方だけです。
これは読んだ人にも確かめられます。 器具を変えても手で引く感覚が消えないなら、 バーを替えても解決しません。直すのは体の側です。
効いたキュー1: 足裏全体で地面を押す
一番変わったのがこれでした。
足の裏全体で、地面を強く押す。泥を踏み潰すイメージ
バーを引き上げるのではなく、地面を押し下げるという感覚に切り替えました。結果 としてバーが上がるのは同じですが、体の中で使っている場所が変わります。
このイメージを持ったときから、手で引っ張っている感覚が消えました。背中を意識して いないのに、背中側が使えるようになった感覚があります。
言葉の細かさが効きました。「足で押す」だけだと母趾球や踵に偏ります。足裏全体 であること、そして泥を踏み潰すという具体的なイメージまで持って、初めて再現 できるようになりました。
効いたキュー2: 手はバーに引っ掛けているだけ
足裏とセットで効いたのがこれです。
手はバーに引っ掛けているだけのイメージ
握り込んで引こうとすると、そこが起点になって腕で引く動作になります。指をフックの ように使って、バーが落ちない最低限だけ保持する。
手を能動的に使わないようにすると、力を出す場所が自然に下半身と背中側に移りました。
効いたキュー3: 脛に沿って垂直に上げる
軌道の話です。
脛のギリギリのところを、脛に沿って垂直に上げる
バーが体から離れると、その分を腕で引き寄せることになります。脛に沿ったまま真上に 上がっていく感覚が出ていれば、うまくいっている状態でした。
これは軌道の確認手段として使っています。垂直に上がっている感覚があるかどうかが、 自分にとっての目安です。
背中で引けたかどうかは、下ろすときに分かる
うまくいったレップの目印は、上げる局面ではありませんでした。
引くときよりも、下ろすとき——ネガティブで背中に効く
上げているあいだは、重いという感覚が先に来て手応えが分かりにくい。下ろしていく あいだに背中側が効いているなら、そのレップは背中で引けています。
足裏を意識した結果が出ているかどうかも、ここで確認しています。
2レップ目からは、深く下ろさない
上の目印と繋がる話です。
1レップ目は床から引きますが、2レップ目以降は最後まで下ろしません。 バーベルを 床につけると、緊張が抜けてしまうからです。
下ろす局面で背中が効いているのに、下ろしきって床に置いてしまうと、その局面を自分で 終わらせることになります。浅く戻して次のレップに入れば、張ったまま続けられます。
好みが分かれるやり方だと思いますが、自分は緊張を切らさない目的でこうしています。
3つとも持ち込もうとすると、どれも中途半端になります。まず足裏だけで試して ください。 手と軌道は、足裏が入ってから足すもので、順番を逆にすると効きません。 自分の場合、変わったのは足裏を意識した最初の1レップからでした。